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ひと昔前の日本は、住宅の多くが通気性の良い木造の平屋で、畳の部屋を中心に造られていました。大家族で暮らし、日中も誰かが家にいて、暑い時には窓を開け、家事をして、室内の空気が常に動いていたものです。一年を通してみても、梅雨から真夏にかけて増えたダニやカビは、「秋の乾燥」「冬の低温」で繁殖力が弱まり、爆発的には増えないという自然のサイクルがきちんと機能していました。
近年は、気密性の高い新建材で建てられた家やマンションから家族が出かけてしまうと、夜になるまで室内の空気が動かない反面、在宅時にエアコンを使えば、年中快適な室温に保つことができます。
人間にとって快適な住環境や生活スタイルは、カビにもダニにも住みやすい状況を作り出しているのです。
カビが活発に増えるのは、気温25~30℃、湿度60~80%くらいですが、0℃以上なら生息可能なので、冷蔵庫の中でも油断はできません。浴室では皮脂や垢などがエサになり、台所では開封後食べ残したり、こぼれ落ちたりした食品もエサになります。部屋の隅にある家具の裏側の壁や、エアコンの内部などもホコリと湿気でカビが増えやすい場所です。
撲滅するのはなかなか困難なことですが、カビを吸い込むと、気管支炎や気管支ぜんそく、鼻炎になる恐れもありますし、微熱や咳などの症状が出て、夏風邪かな?と軽く考えていたら、免疫力が下がっている時にカビの胞子が肺の中まで入り込んで発症する「夏型過敏性肺炎」にかかっているかもしれません。
カビが好む「温度+湿度+栄養源」を作り出さないようにするには、どうしたら良いのでしょう?
室内のカビを予防するには、こまめに ①換気 ②掃除 そして時には ③模様替え ④エアコンの除湿機能や除湿機を利用する この4点が大切です。
カビは靴箱の中や押し入れ、エアコンの内部など湿度の高い場所が大好き!靴箱の中は消毒用のエタノールをつけた雑巾で拭き、雨に濡れた靴をそのまま仕舞わないようにしましょう。押し入れは、物がぎゅうぎゅうに詰まった状態だと空気の流れが悪くなります。空気の通り道が確保できる程度に入れる物を減らして、押し入れの戸は時々開けて下さい。両端10センチくらい戸を開け、片方から扇風機で風を送り込むようにすると、より短時間で換気できます。
エアコンはフィルター掃除をこまめにし、吹き出し口の汚れは割りばしに古布を巻いた物にエタノールをかけてふき取りましょう。カビ臭さがとれないときは、専門業者に頼んだ方が安心かもしれませんね。
浴室のカビを予防するにも、とにかく ①換気する ②水分を拭き取る ③こまめな掃除 ④収納の工夫(床に物を置かないなど) の4点を心がけることです。毎日の入浴の後には冷水シャワーを壁に当て、風呂場の温度を下げましょう。カビの胞子は10日ほどで成長します。1週間に1回、カビが成長する前に、50℃のお湯を5秒間かければ、予防することができます。(やけどには注意して!)
カビが生えてしまったら、お風呂の壁に50℃のシャワーを90秒当てると、奥に入り込んだカビも死滅します。(天井にはシャワーを向けないで!)その後、カビ取り剤を使って残ったカビの跡を白くすればOK!
お風呂の天井に一度カビが生えると、床のカビよりも広がりやすいので、月に一度は柄の長いワイパーに雑巾を巻きつけて水拭きを。カビが生えてしまったら、キッチンペーパーに消毒用アルコールをつけて拭き取りましょう。
洗濯物に付着した雑菌は紫外線や乾燥には弱いので、晴れた日の洗濯物はすっきり乾き、いい匂い!タオルもふかふかで気持ちがいいですね😊 ところが、梅雨時期の部屋干しでは乾くまでに時間がかかり、ニオイの元となる雑菌は、時間とともに増えていきます。
乾燥機は使えない、でもなんとか早く乾かしたいという時には、
*干す前に一度アイロンをかける
*干す時には間隔をあけて通気性を良くし、扇風機で風を送る
*洗濯物の下に新聞紙を広げる 乾いたバスタオルを一緒に干す
*洗濯物にアルコールスプレーを吹きかける
*除湿機を使う場合は、小さな部屋で利用する
長年愛用している綿のシャツやタオル、通常の洗濯では取れなくなったニオイには…
*粉末の酸素系漂白剤を使う
*色柄物でなければ、たっぷりのお湯で煮沸してみる
ただし、生地が傷むと困る大切な服は避けて下さいね😅
参考:『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』化学同人
『ラクラク楽しい♪家事の基本大事典』成美堂出版
(2017.06げんき夏号より抜粋)